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神経心理検査でのストループ — 何がわかり、何がわからないのか
ゴールデン版・ビクトリア版・D-KEFSなど、臨床で使われるストループ検査の構成と用途、そして1つのスコアでは診断できない理由を説明します。このサイトは診断ツールではありません。
ストループ課題は実験室を越えて、臨床の神経心理評価でも長く使われてきました。ただし、このサイトのテストは標準化された検査ではなく、どのような疾患も診断したり否定したりすることはできません。 以下は、臨床検査がどのように使われているかについての一般的な情報です。
代表的な臨床用ストループ検査
- Stroop Color and Word Test(ゴールデン版) — ゴールデン(Golden, 1978)が作成した版です。色単語の音読、色名の呼称、不一致の色名呼称の3ページについて、それぞれ45秒間でどれだけこなせるかを数えます。
- ビクトリア・ストループ検査(Victoria Stroop Test) — カナダのビクトリア大学で使われてきた短い版で、点・一般の単語・色単語の3枚のカードにそれぞれ24項目があります。神経心理検査の便覧(Strauss, Sherman & Spreen, 2006)に実施方法と資料が載っています。
- D-KEFS 色-単語干渉検査 — デリス、カプラン、クレイマー(Delis, Kaplan & Kramer, 2001)の実行機能検査バッテリーに含まれる版で、基本条件に加えてルールが切り替わる抑制/切り替え条件があります。
こうした検査の多くは音声での回答を用い、訓練を受けた検査者が時間を測って誤りを記録します。そして結果を年齢・教育歴別の基準値と比べて解釈します。
何を見ようとしているのか
臨床でストループ検査は主に、抑制制御(自動的に出てくる反応を抑える力)、選択的注意、処理速度を調べるために使われます。実行機能を評価するバッテリーの一部として組み込まれることが多く、脳損傷、注意欠如・多動症(ADHD)、認知症など、さまざまな状態を扱った研究で使われてきました。
なぜ1つのスコアで診断できないのか
- 複数の能力が混ざる — 色名を言うのが遅いのは、抑制の問題かもしれませんし、単に処理速度や視力・色覚の問題かもしれません。そのため検査では、音読や色名呼称といった基本条件を別に測って比べます。
- 読む力と教育 — 読むことに慣れていないと単語が自動的に処理されにくく、干渉がかえって小さく出ることがあります。
- 特定の疾患に特異的ではない — 干渉が大きいという結果はさまざまな状態で見られるため、それだけで何かの病気を示すわけではありません。疲労・不安・睡眠不足だけでも変わります。
- 差分スコアの信頼性 — 干渉のように2つの条件の差から作ったスコアは、集団平均でははっきりしていても、個人差を安定して測るのは難しいという指摘があります(Hedge, Powell & Sumner, 2018)。
そのため臨床的な判断は、面接、複数の検査、病歴や生活機能を総合した専門家の解釈によって行われます。
このサイトと臨床検査の違い
| 項目 | 臨床検査 | このサイト |
|---|---|---|
| 実施 | 訓練を受けた検査者、標準手順 | 自分で実施、端末ごとに異なる |
| 回答 | 主に音声 | ボタン・キーボード |
| 測定 | ページ(カード)ごとの時間や項目数 | 試行ごとの反応時間(ms) |
| 解釈 | 年齢・教育歴別の基準値 | 基準値なし、自分の記録同士で比較 |
急に集中しにくくなった、記憶力が変わったと感じるなど、気になる変化がある場合は、オンラインテストの結果で判断せず、医療の専門家に相談してください。
参考文献
Golden, C. J. (1978). Stroop Color and Word Test: A manual for clinical and experimental uses. Stoelting.
Delis, D. C., Kaplan, E., & Kramer, J. H. (2001). Delis-Kaplan Executive Function System (D-KEFS). The Psychological Corporation.
Strauss, E., Sherman, E. M. S., & Spreen, O. (2006). A Compendium of Neuropsychological Tests (3rd ed.). Oxford University Press.
Hedge, C., Powell, G., & Sumner, P. (2018). The reliability paradox: Why robust cognitive tasks do not produce reliable individual differences. Behavior Research Methods, 50(3), 1166–1186.